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2006年1月 8日 (日)

風俗・・ひとみ伝説 常連以上の壁

何にひかれたんだろうか、何がここまで熱くさせたのだろうか。それなりの回数の風俗通いの中でこんな気分になったのは初めてでした。

初めての電話予約をしたのは出会ってから間もない冬のとある日でした。

彼女は当然ですが私の事を覚えていてくれました。今思えばあたり前の話なんですが、相当短期間の間に指名をして来た訳で、客商売の姫にとって覚えていて当然だったわけです。しかも、電話までしているわけですから、これはもう常連コース間違いなしだったわけです。

「あ、○○さん(私の偽名)用にはぶらし買って来ようと思って忘れちゃった」ひとみちゃんはそんな事をつぶやいていました。普通ソープでは風呂入っているときにはみがきするんですが、その時用に専用の歯ブラシを用意してくれる=常連、そう認めてくれたということを意味するものでした。そんなちょっとした事がうれしかったんですね。

それからしばらく・・・もう仕事も何もありません。ひとみちゃんのことが頭を離れません。決して多くはない給料のすべてをひとみちゃんに会うためだけに使う日々が続きました。電話嫌いの私は教えてもらった番号をあまり鳴らさない人でした。(しばらくしてメールアドレスを教えてもらって、時々メールのやり取りはしていましたが)電話嫌いというのも大きな理由のひとつですが、1番の理由は、仕事中(客がついている時)に電話を鳴らすのは悪いなと思ったからです。実際ひとみちゃんに限った話ではありませんが、時間内に携帯がなる事は時々ありました。大概はみんな無視して後からかけなおしていたようですので、まぁうまく暇な時に当たれば話も出来るしよかったんでしょうが。

そしてもうひとつの理由は、もし彼女がプライベートの時間であったなら、それはそれで申し訳ないという気持ちでした。いや、むしろこっちの方が大きな理由だったと思います。

誰でもそうだと思うんですが、休みの時間に仕事関連の人からの着信があるといやなものですよね。(遊びにいくとかの連絡でない限り)彼女の基本シフトは聞いていましたが、それゆえに余計休みの日まで連絡する事にためらいがありました。

この時点で、私にもわかっていました。彼女の笑顔はあくまで仕事上のもの。だから深入りは出来るわけがない。

普通の姫には必ず常連がついています。これは普通の仕事の営業と同じく、いかに固定客をひきつけるかが大事だからです。ひとみちゃんと話をする中で、他の常連の話が出るようになってきました。そんな時、ちょっとだけ嫉妬している自分がいたりしたのですが。ある時には、「お客さんから告白されてん・・・気持ちはうれしいねんけど、まさか受けるわけにもいかへんし、断ったらそれで終わりになってしまうし。とりあえず私なんかよりもっといい人見つかるよみたいな話してごまかしたけど・・・」そんな話を聞いたことがありました。

いくら仕事とはいえ、そこは男と女が出会う場所、そこで恋が生まれること、これは別に不思議な話ではありません。現に店で出会ってそのまま結婚までたどりつくケースも決して少ないわけではない、そんな話をちらほら聞いていました。この時はそんな事を考えたわけではなく、間抜けな話ですが「やっぱ、ライバル多いんだなぁ」と思っただけでした。

この頃の私の心情は、完全な恋愛モード、とはいえ、やはり風俗業界という特殊な世界に生きる彼女に対する壁のようなものを感じていました。

遊びに行って得られる甘い時間、これは間違いなく「ひとみ」ちゃんという名の姫により演出された時間だったでしょうから・・・私は結局彼女に本名を聞くことはありませんでした。これは恋愛感情に乱されながらも、やはり壁を越えることができない現実を少しは認識出来ていたという証拠のような気がします。

そして、仮に彼女もまた私にそういう感情を持っていてくれていたとしても(ありえない話ですが)それはそれでまた大きな壁にぶつかることになるでしょう。いくら自分自身が平気だったとしても、例えば連れに自分の彼女の仕事を言えるでしょうか?また、ひとみちゃんがそうだったかどうかはわからなかったのですが、そういう業界に入る人って基本的に何らかの事情ってやつがあるはずなんです。もちろん経済的な理由がほとんどでしょう。という事は極端な話、その経済的な状況をそのまま受け止めることが私に出来るのだろうか?そんな事を考えるようになってきました。

まぁ、それより何より・・・彼女の笑顔も甘い時間も、あのお店にいるから得られるものなんだ、その事実に気づいていたから、常連以上を求め切れなかったんでしょう。とは言え、熱くなった自分の気持ちを抑える事が出来ない・・・

とある漫画の台詞なんですが、私の好きな言葉があります。

「男には負けるとわかっていても、行かなければならない時もある」

そして、抑えきれない思いが爆発寸前になってきたある時、ふいにひとみちゃんがお店を代えるという話を聞きました。新しいお店は神戸の福原というこれまた有名なソープ街にありました。今のお店は客から見ても安いところ。当然姫の取り分も少ないんでしょう。またそれなりに繁盛しているようにも見えましたが、実際問題なかなか客がつかずに、ひどい話坊主(客が1人もつかない事)の時も結構あったようで、また姫同士のごたごたを目の当たりにして嫌気が差した、そんないろんな要素が重なり合った上での話だったようです。私にとっては雄琴も福原も関係ありませんでした。新しいお店の名前を聞いておいて、就職祝いのプレゼント(ぬいぐるみですが)を渡し、新しいお店の方にも行くよ、そう言って別れました。

新しいお店の方は、値段的には中級店で私にとってもただでさえきつい金額がさらにきつくなった状況でした。そして、福原は少し遠い場所でした。しかし、そんな事は何の抵抗にもならない、そう思っていました。

しかし、問題は、自分自身の気持ちでした。私は自己中な人間です。この思いを伝えたい、もうその一念でした。しかし、伝えてしまえばそれで終わってしまうだろう・・・それゆえにそれが怖くて今までは口にすることが出来ませんでした。

常連としてひとみちゃんが演出してくれる甘い時間を楽しみ続けていたい、それでよかったのかもしれません。しかし、どうしてもそれを超えてすべてを欲しがる自分がいました。

割り切った付き合い、そういう言葉がこの世の中に存在しています。それははっきり言えばカラダだけの関係、それもまた真実なのかもしれません。そしてそれにも確かにメリットはあるのでしょう。常連としてひとみちゃんとの甘い時間を楽しむ、それでよかったのかもしれませんが、どうしても・・・私の考えはどうどうめぐりを続けるのみでした。壁を越えるために一歩を踏み出すこと、それはこの甘い時間の終焉を意味している、しかし、これでいいのだろうか?私はひとみちゃんのカラダのみをもてあそんでいる事になるのではないか、彼女はそれが仕事だから・・・そう割り切ることが正しいのだろうか?少なくとも私自身はすでに気持ちの上ではもっと先の次元に入り込もうとしている、そんな気持ちのままで彼女に会うことは失礼に当たるんじゃないだろうか、そんな風に悩むようになってきました。

新しい店に変わってから、しばらく私は店に行くことが出来ませんでした。中途半端に終わらせたくない、そんな気持ちを抑える事が出来ず、でも一歩を踏む出すことへの怖さから、行動を起こすことが出来ませんでした。しかし、自分を抑えることに限界が来るまでにそれほど長い時間はいりませんでした。そして、その時がやってくるのです。

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